このような症状の方
*認知症・軽度認知障害・認知症予防外来
【アルツハイマー病治療の新薬・レケンビ】
レケンビは、初期アルツハイマー病の治療薬で、脳に蓄積された異常蛋白を減少させ進行を抑制します。既存薬に比べて高い効果があり、当院では、効果が見込まれる患者さまを連携病院にご紹介し治療を開始しています。レケンビは点滴による治療で、副反応が起きやすい最初の数カ月は連携病院への通院が必要です。その後は当院で治療を継続いたします。
【早期受診のメリットは3つ】
①治る病気を、認知症になる前に治す。
②進行スピードを抑え、自立して生活できる期間を最大限に延ばす。
③新薬の治療(レケンビ)を受けられるチャンスを逃さない。
受診先延ばしは、進行に加速度がつくだけです。是非、早期受診をお考え下さい。
診察の流れを知りたい
①「詳しい問診」:ご自宅での様子を詳しく伺うと同時に、簡易認知機能検査で大体の病状を把握します。ご本人の前で話せない場合は、予約の際にお伝え下さい。ご家族だけ先に診察室にお呼びします。
②「神経学的検査」:脳神経内科医が専門とする検査で、麻痺、感覚、筋、姿勢の状態を診察します。本人や家族が気付いていない脳神経の症状を診断します。この検査は一般内科や精神科ではできません。また、パーキンソン病などの神経難病の診断には必須の検査です。
③「画像診断」:当院で実際の画像をお見せしながらご説明します。動脈瘤、脳腫瘍などがあればすぐに専門病院を紹介状をお書きします。ご病状によっては、さらに詳しい画像検査(脳SPECT、DATスキャン)に進みます。
④「精密認知機能検査」:一般内科で行われる簡易検査では進行した認知症しか診断できません。当院では、記憶、見当識、動作障害、前頭葉機能などを詳しく検査します。この検査は軽度認知障害(MCI)の診断には不可欠で、新薬(レケンビ)治療に進めるかどうかの判断にも有用です。検査にはご家族に同席いただいており、「病状がよく理解できた」と大変好評です。また、定期的に行うことで、病状変化に合わせて治療を見直したり、介護保険の区分変更申請意見書を作成しています。
*きめ細かな診療で認知症や認知症以外の病気を高い精度で診断しています。
認知症治療薬はすぐに出してもらえますか?
*お薬が効くタイプの認知症か *安全に服薬できるか *副作用は起きないか を確認しながら、病状に合ったお薬を処方します。
今の時点であるのは、症状の一部を改善させるお薬で進行は止められません(認知症のタイプによっては全く効かない場合もあります)。この薬も、糖尿病、過度の飲酒、運動不足を放置して服用しても効果ありません。また、飲んだことを忘れて数日分飲んでしまうと、下痢やふらつきなどの深刻な副作用がでます。当院には、安易に薬を出されて体調を崩し、病状が進んでしまった方がたくさん来院されます。当院では、栄養状態や持病の有無、安全に服薬できるかを確認し、病状に合ったお薬を処方しています。(新薬「レケンビ」は本ページ上に記載)
認知症のタイプとは何ですか?
現時点では、3つに分類されており、複数のタイプを合併する場合が多いことがわかっています。
①「アルツハイマー型認知症」:「物忘れ」が強く、進行すると言葉や動作の障害が強くなります。人柄や人格は比較的長く保たれます。
②「レビー小体型認知症」:子供や動物などが見える(幻視)、怖い夢を見る、大声で寝言を言う、パーキンソン病のような運動症状がある、などの特徴があります。
③「前頭側頭型認知症」:強いこだわり、怒りっぽい(易怒性)、性格変化などが特徴で、言語障害が表れる方もいます。車の運転で大事故を起こすこともあるため、早期の診断が必要です。
どのタイプであっても、早期受診+健康管理+運動療法、が進行を抑えるカギです!
*高次脳機能(失語症)外来
病気や事故などで脳が損傷を受け、記憶、言語、動作、注意力などに障害が生じた状態を高次脳機能障害といいます。症状のわかりにくさから「見えない障害」と呼ばれ、生きにくさを抱えている方が少なくありません。また、最近は新型コロナ後遺症による記憶障害、注意力・思考力低下で受診する方も増えてきています。
当院の高次脳機能外来の特徴は以下の3点です。
1 「詳しい診断」;障害を詳しく把握するために、ご家族や支援者の方からもお話を伺います。また、「性格が変わり自分勝手になった」「複雑な作業ができなくなった」といった診断しにくい症状も、適切な検査を実施して、「見えない障害を見える化」しています。診察は院長に加え、高次脳機能障害のエキスパートの医師が参加しています。
2 「診断書作成」;精神保健福祉手帳、失語症の障害者手帳、障害年金診断書などお受けしています。麻痺や歩行障害などの身体障害を合併している場合は、身障手帳診断書もお受けします。最近は、脳外傷の数年後に症状が現れた方(慢性外傷性脳症 CTE:Chronic Traumatic Encephalopathy )や、他の医療機関で作成した診断書で手帳や年金が認定されなかった方のご相談が増えています。診断書には障害を客観的に記載する必要があり、詳しい診察や追加検査が必要な場合があります。
3 「生活支援」;障害者センター、保健師さん、ケアマネさんと連携して、リハビリ施設や介護保険制度を利用できるようにご支援しています。地域連携カンファレンスなども積極的に実施しています。
*頭痛・片頭痛・しびれ・めまい
頭痛には様々な原因があり、原因をしっかり診断することが効果的な治療につながります。頭痛の多くは緊張性頭痛と偏(片)頭痛ですが、頚椎変形、脳血管障害、糖尿病、ウイルス感染によるものなど、原因により効果のあるお薬も違います。
最近は、スマホやパソコンのやりすぎで頸椎を痛め、頭痛やしびれを起こす方が増えています。この場合、痛み止めを飲み続けるよりも運動不足の解消や、同じ姿勢を長く続けないなどの生活改善が重要です。また、若い女性では貧血が頭痛の原因になることもあります。慢性頭痛は、漫然と痛み止めを飲み続けるとだんだん効かなくなったり、乱用による頭痛につながる可能性があります。(次の脳出血・脳腫瘍の項目に続きます)
*脳出血・脳梗塞・脳腫瘍の早期診断
注意が必要なのは、「頭痛や偏頭痛」「しびれ」「めまい」といった症状には脳出血、脳外傷、脳腫瘍、神経難病など、深刻な病気が隠れている可能性があることです。当院では、最初に脳神経の異常を詳しく診察します(神経学的検査といって、脳神経内科医が専門とする検査です。この検査は一般内科ではできません。)。その結果、脳や脊髄の症状が疑われる場合は、速やかに画像診断を行います(大学病院のMRIは何週間も待ちますが、当院連携の画像センターでは当日か翌日には撮影予約が取れます)。当院では他の医療機関で診断できなかった初期の脳腫瘍、動脈瘤、脳出血や脳梗塞が見つかる方が多く、早期治療におつなぎしています。
*神経難病外来(パーキンソン病、多発性硬化症など)
残念なことですが当院には、誤った診断と不適切な投薬で病状が悪化した方が多く受診されます。特に抗不安薬、抗精神病薬、一部の睡眠薬は、病状を悪化させ、転倒や誤嚥の原因になります。神経難病は、いったん機能低下してしまうと回復には時間がかかります。神経難病の診断や治療には脳神経内科の専門知識が必要です。なるべく早く診断して、適切な治療を始めることが進行を抑える鍵です。
神経難病治療に重要なのは「薬とリハビリの連動」です。早期からリハビリを始めた方は進行も緩やかで、お薬も少なくて済みます。当院では、神経難病のリハビリが得意な複数の訪問看護ステーションと連携しており、難病リハビリが得意な療法士さんや看護師さんが、当院の患者さんの健康管理や訪問リハビリを担当しています。また、難病医療費助成や介護保険申請をお勧めしており、申請診断書を作成しています。この制度でリハビリの自己負担が低く抑えられています。
*てんかん外来
てんかんでは、「脳波」「薬の血中濃度」「副作用」を定期的にチェックすることが重要です。幸いにもてんかんは新薬開発が進んでおり、これまで発作が抑えられなかった方も改善する可能性があります。また、車の運転は発作が収まってから2年経過している必要があり、早く治療して発作を抑れば、進学や就職への影響も最小限にできます。また、当院は国立精神神経県研究センターと連携しており、専門的治療が必要な患者さまを、センターにおつなぎしております。
当院は、自立支援医療・難病医療費助成の指定医療機関です
てんかん治療の新薬は高額ですが、自立支援医療制度を利用すれば自己負担が1割に抑えられます。自立支援医療診断書は当院で作成できますので、費用に悩まずに効果的な治療を受けるためにも是非ご相談ください。詳しくは「診断書作成のご案内」をご覧ください。
*むずむず脚症候群
レストレスレッグス症候群(restless legs syndrome:RLS)」ともよばれ、夜、お布団に入ったときや、新幹線や映画館などでじっと座っているときに、脚の内側からむずむずとしてきて、脚を動かすと症状が和らぐ・・・といった特徴があります。症状が軽い場合には、生活習慣の改善でよくなりますが、症状が強い場合は、お薬による治療が行われます。お薬はドパミンアゴニストと呼ばれるお薬で、脳の伝達物質を補う作用があります。患者さんの体調や副作用に十分注意しながら処方する必要があるため、脳神経の専門知識が必要です。足の不快感でお悩みの方は、是非ご相談ください。
*睡眠時無呼吸検査
睡眠時見呼吸とは、睡眠中に呼吸が止まる「無呼吸状態」が繰り返される病気です。Sleep Apnea Syndromeの頭文字をとって、「SAS(サス)」とも言われます。当院では、SASを自宅で検査できる簡易検査を行っており、ご自宅で寝ている間にできます。手の指や鼻の下にセンサーをつけ、いびきや呼吸の状態から睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性を調べます。当院では、頭痛、ふらつき、めまい、物忘れなどで受診された方に、SASの可能性が認められた場合、この検査をお勧めしています。(検査の方法などはこちらをご覧ください。)